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【コラム】『ロマンとそろばん』~ソフト会社CEOの独り言~

第9回 学歴、成績不問 今、グーグルの採用基準が面白い!! 2014年7月16日配信

今、IT業界は深刻な人材不足だ。当社でもここ数年の人材不足には本当に頭が痛い。国内経済の好調さを背景に、様々な業界でIT関連の開発案件が次々と生まれているからだ。特に近年はスマホ向けのアプリ開発に大量のエンジニアが引っ張られて、業界全体が人材不足に陥っている。

現在、当社でも人材募集を行っているが、普通に求人広告を出しても集まらないため、中途採用の募集を人材紹介会社に委託している。成功報酬型で採用が決まれば年俸の1/3を紹介会社に支払う仕組みだ。ここまでしないと今は採れない状況である。

しかし、肝心の応募者と面接をしてみると、SEやプログラミングなどの一通りの知識や実績は持ってはいるものの、即戦力で使えそうな人材にはめったに出会えない。本人は長年実務を積んできた経験者のつもりだろうが、特別な技術やポテンシャルを持っているとは到底思えない「自称キャリア」ばかりが目に付く(失礼だが)。一歩譲って、技術や知識面での力量不足を補う積極性や協調性、コミュニケーション能力を考慮してもそれほど芳しくない。他の企業ではどのような基準で採用しているのか気になるところだ。

2か月ほど前だったと思うが、日本経済新聞の電子版を見ていたとき「学歴・成績不問 グーグル、5つの採用基準」というグーグル社の大胆なキャッチに目を奪われた。この記事はビジネス誌「Forbes電子版」に掲載されたグーグルの採用責任者のインタビューだ。大まかにはこんな内容だ。

「グーグルでは人材の採用基準として名門大学卒は不要だ、大学での成績は何の役にもたたないし価値もないと考えている。IQ(知能)で判断するのももう古い。採用担当者は、名門大学だけでなく、あらゆる人に対してアンテナを張らなければならない。なぜなら大学を出ていなくても成功する人はたくさんいる。こうした人材を探し出すため企業は全力を尽くす必要がある……」。

最初にこのキャッチを見たときはあのグーグルが本当に? と少し疑ってみたが、確かに本質をとらえている点ではまったくその通りだと強く納得させられる。最近はどんな企業であれ大抵は大卒を採用基準にしている。名の通ったブランド力が強い一流大学卒は引っ張りだこだ。自分も口では実力次第だ、どの学校を出ていても関係ないし文系も理系もない、ヤル気さえあれば誰でも通用するとは言っているものの、内心は学校も専攻も成績もその上にヤル気も必要だと思っている。そんな自分に少し腹も立つ。

基準を大卒にしておけばとりあえず無難な人材が確保できるはず。その中からポテンシャルの高い人材が輩出できれば私も会社も学生(キャリア)も「三方よし」だ。しかし、これだけで本当に企業が求めている優秀な人材が採れるのだろうかと思っていた矢先に、このグーグルのキャッチはとても斬新で衝撃的に映った。

今回のコラムでは、グーグルが人材採用に必要としている5つの基準を参考にしながら、自分たちとの違いを考察してみた。

彼らの採用基準を優先順位の低い順から並べるとこうだ。

(5)専門知識、(4)自発性、(3)謙虚さ、(2)リーダーシップ、(1)学ぶ力

「技術分野の人にはプログラミング能力を身につけていることを求めるが、採用時、グーグルにとって専門知識は必ずしも重要ではない……」としている。確かに当社でもキャリアの募集では即戦力となる経験や知識は必須だが、新卒ではそれほど問題にはならない。知識より重要度が高いことは他にもある。ただあの超優良企業のグーグルがIQや成績に関心を持っていないことに少し違和感を覚えた。口ではそうはいってもあのグーグルならば、もともと最高の人材が集まる素地があるので何とでもいえるのでは、とジェラシー交じりに思ってしまう。

「必要なことは責任を持って問題を解決し、会社を前進させることができる現状打破に情熱を燃やせる人材である……」と、グーグルでは自発性に優先度を求めている。まさに、これはどの企業にとっても同じだろう。当社でも強く求めていることだ。しかし長年会社をやっていると、実に指示待ちの社員が多いことに気が付く。新人ばかりでなく中堅にも結構この手の社員が多いことに気付かされる。線路を敷いてあげないとなかなか動かない人種である。自分から行動して失敗するより、上からの指示で動く方が楽だからだ。

顧客から電話やメールを貰わないとまったく営業活動ができない社員もいる。自ら顧客を開拓し、ドリルのごとく風穴を開け、顧客の問題を解決していくことが不得意なのである。ただ当社の場合、こうした文化をそのまま置き去りにしてきたのは自分自身であり、このグーグルの記事をきっかけに今自分に、猛省を求めているところだ。

グーグルでは「積極的に仕事に取り込もうとする熱意には、謙虚さが伴っていなければならない。自分より優れたアイデアの持ち主の主張に耳を傾けたり、より良い仕事のコツを学ぼうとしたりする率直さが必要である……」としている。得てしてエンジニアやキャリアにはプライドの高い人が多い。自分のアイデアがベストプラクティスであり自分以外の意見にはまるで耳を傾けない人がいる。

人間はたびたびネガティブな意見を聞かされると、何事にも情熱を失い、二度と挑戦する気持ちを失ってしまう動物である。グーグルがいう、自分の意見を聞いてもらうためには、他人の意見も素直に聞く謙虚な気持ちが必要である。

“君にはリーダーシップがありますか?”。応募者とのインタビューで必ず聞かれるのがリーダーシップの資質だ。グーグルでは「あらゆる組織やレベルで従来の尺度では測れないようなリーダーシップを重要視している。以前の役職は何だったとか、どのくらいの期間でその地位に就いたとか従来型の質問では測れない。必要なことは、担当する仕事とか役職名にこだわることなく自ら先頭に立ち必要とされる結果を出すことだ……」としている。

まさにグーグルのいう通り。リーダーシップは自分のポジションと関係なく、自分が思うことを、周囲を巻き込んで行動できる能力である。会社やグループは、リーダーの能力次第でどのようにも変化し行動する。なので、会社の業績や状態が芳しくないと、このリーダーシップの定義がいつも自分の脳裏をかすめるのである。

最後に、グーグルの採用基準で最も優先順位の高いのが学ぶ力だそうだ。「学ぶ能力、新機軸を身につける能力、臨機応変に学ぶ能力、一見共通点のない情報の中に一定のパターンを見つけ、次のステップに踏み出せる能力……」。これこそがグーグルの採用責任者が最終的にたどりついた、人材に求める最も優先されるべき資質であるとしている。

「何事も恐れず、好奇心旺盛でいち早く新たな分野にも果敢に挑戦する能力を身に付けることができる社員……」だそうだ。確かにその通りだと思う。しかし、グーグルが最重要視しているこの学ぶ力が、他の採用基準と比べていったいどれくらい重要なのか自分には簡単に理解できなかった。それほどのこだわりはないのだが、自分は最も優先すべきは昔からリーダーシップであると信じている。

リーダーシップこそが、会社を作り(創り)、業績を作り、人材(財)を作り、文化を作ると信じているからだ。皆さんはどのように思いますか?

株式会社インターコム
代表取締役会長 CEO 高橋 啓介


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