【FAX通信規格】G3、スーパーG3、G4|注意点と今後の代替手段を解説

FAXの通信規格には、G3・スーパーG3・G4の3種類があり、通信速度や使用回線が異なります。この中で最も高速であったG4は、ISDNのサービス終了にともない廃止されるため、今後はG3またはスーパーG3を利用する必要があります。近年ではペーパーレス化も推奨されているため、FAXの利用を見直す企業も増えています。
今回は、G3・スーパーG3・G4の規格の違いから、G4終了後の代替手段を解説します。
G3とは?スーパーG3、G4との違い
FAXの通信規格「G3」は、画像を音声信号に変換して送信し、受信時に再び画像化する通信方式です。回線は従来の銅線(メタル線)※に加え、近年普及している光回線(ひかり電話・IP電話)でも利用可能です。
G3規格のFAX通信速度は14.4kbpsです。A4用紙の原稿を1枚送信するには、約30秒かかるとされています。また、印刷時の解像度はおよそ200dpi×200dpiです。
G3規格とスーパーG3、G4との違いについて詳しく見ていきましょう。
| 通信規格 | 使用回線 | 通信スピード | 送信時間(A4用紙1枚) | 解像度 |
|---|---|---|---|---|
| G3 | アナログ | 14.4kbps | 約30秒 | 200dpi×200dpi |
| スーパーG3 | アナログ | 33.6kbps | 約10秒 | 200dpi×200dpi |
| G4 | デジタル | 64kbps | 約3秒 | 400dpi×400dpi |
スーパーG3との違い
スーパーG3規格は、G3規格と同様にアナログ回線を利用して送信する規格です。画像を圧縮することにより、通信速度がG3規格の約2.3倍に高速化されています。A4用紙1枚なら、約10秒で送信可能です。
スーパーG3での通信には、送受信の双方が規格に対応している必要があります。対応していない場合にはG3規格が使用されます。
G4との違い
G4規格は、G3やスーパーG3と異なりISDN回線(デジタル回線)を利用する通信規格です。G4の通信速度は64kbpsとスーパーG3規格よりも高速で、約3秒でA4用紙1枚を送信できます。
また、G4規格の解像度は400dpi×400dpiと、G3規格に比べて大幅に高精細であることが特徴です。一般的な印刷物の解像度は350dpiであることから、G4による印字は非常に高品質といえます。
【注意】G4規格は2024年1月から使えない
ISDN回線の「ディジタル通信モード」は2024年1月より段階的に終了しており、G4規格のFAXはすでに利用できなくなっています。
サービス終了の理由は、固定電話(加入電話とINSネット)契約数の大幅な減少と公衆交換電話網(PSTN)設備の維持限界が近づいているためです。PSTNからIP網への切り替えに伴い、2028年12月31日にはISDN回線のすべてのサービスが完全終了します。
ディジタル通信モード終了後は、設備変更が間に合わない契約者のために用意された補完策により一定期間は利用できます。
ただし、補完策では伝送遅延などの影響により、通信品質が低下し、業務効率に支障をきたす可能性があります。なお、補完策も2028年12月31日に終了します。
【G4廃止以降】FAXの代替手段
G4規格が廃止された後も、G4およびG3規格の両方に対応したFAX機であれば、回線を光回線に切り替えることで、引き続きG3規格で使用可能です。G4規格にしか対応していないFAX機の場合には、機器の変更が必要です。
ここからは、G4規格のFAXの代替手段を解説します。
スーパーG3対応のFAX機
今後もFAX機を継続して利用する場合は、スーパーG3に対応した機器の導入が推奨されます。G3規格でも使用は可能ですが、通信速度が遅いため業務効率が低下する恐れがあります。
ただし、接続先が光回線となる場合は注意が必要です。スーパーG3は固定電話回線であれば問題なく利用できますが、光回線を使用していると、回線の状態によっては通信エラーが発生する可能性があります。
その際には、G3での送受信に切り替える必要が生じ、結果として通信に時間がかかってしまいます。状況次第では、FAXの運用自体を見直すことも検討すべきかもしれません。
メール
FAXの代わりに、メールでデータをやり取りする方法もあります。メールは日常的に使い慣れていることがメリットですが、誤送信や添付ファイルの容量制限といったリスクに注意が必要です。
また、メールでよく指摘される課題として「PPAP問題」があります。PPAPとは、パスワード付きzipファイルを用いてデータを送信する方法の略称で、以下のような手順を指します。
- P:パスワード付きzip暗号化ファイルを送ります
- P:パスワードを送ります
- A:暗号化
- P:プロトコル
PPAPはかつて多くの企業で利用されてきましたが、通信経路を盗聴された場合に脆弱性があり、セキュリティリスクが懸念されるため、現在は廃止が進んでいます。そのため、今後のFAX代替手段としては推奨されません。
ビジネスチャット
Microsoft TeamsやSlack、Chatworkなどのビジネスチャットは、リアルタイムでのコミュニケーションが可能で、タスク管理やファイル共有、ビデオ通話などの機能を備えています。
PDFや画像ファイルの送信にも対応しており、FAXの代替ツールとして活用できます。特に、通知機能によって新着メッセージにすばやく気づける点は、即時性を求められる業務において有効です。
ただし、やり取りが増えると情報の整理が難しくなり、重要なメッセージを見逃す恐れがあるという課題もあります。
また、セキュリティポリシーの観点から、ビジネスチャットの利用範囲を社内に限定している企業もあり、社外との情報共有には向かないケースもあります。
クラウドストレージ
「Googleドライブ」や「Dropbox」、「OneDrive」などのクラウドストレージを活用すれば、文書の共有や編集が可能です。共有リンクを送信するだけで良く、チャット同様にペーパーレスでの運用が可能です。
また、データが一元管理されるため、従業員間での情報共有も容易になります。
クラウドストレージは、ファイルやフォルダにアクセス権限を設定することでセキュリティを強化できるため、相手先企業の同意があれば社外とのやり取りも可能です。
ただし、通知機能が限られており、届いた内容を確認するにはストレージへのアクセスが必要なため、FAX機より受信に気づきにくい点がデメリットです。
クラウドFAX
クラウドFAXは、インターネット回線を通じてFAXの送受信ができるサービスです。
専用機器や電話回線を必要とせず、既存のFAX業務を変えずにデジタル化できる点が特長です。受信FAXの自動振り分けや誤送信防止などの機能を備えたサービスもあり、仕分けの手間や人為的なミスの削減にもつながります。
また、インターネット環境があれば、自宅や外出先でもFAXの送受信が可能なため、場所にとらわれない柔軟な働き方が実現します。
FAXを利用するなら「まいと~く Cloud」がお勧め
G4規格の終了により、従来のFAX環境を見直す企業も増えています。今後もFAXを使い続けたい場合は、通信環境の変化に左右されにくく、どこからでも利用できるクラウドFAXサービスへの移行が安心です。
クラウドFAXサービス「まいと~く Cloud」なら、FAXの送受信をメール感覚で一元管理できます。FAXの閲覧、振り分け、共有がクラウド上ですべて完結するため、自宅や外出先でもスムーズにFAX業務が行えます。
また、基幹業務システムや帳票作成ツールなどとの連携にも対応しており、オプション契約により業務システムから直接FAXを送信することも可能です。
まとめ
G4規格は高品質な通信が可能でしたが、ISDN回線の終了に伴い利用できなくなります。今後FAXを利用する場合は、スーパーG3対応機器への切り替えや、より利便性の高いクラウドFAXサービスへの移行などが挙げられます。通信環境の変化に合わせ、スムーズに業務を続けられる仕組みを整えていきましょう。
