FAXでの受発注は非効率! 業務コストを削減するための効率策を解説

多くの企業、特に製造業、卸売業、サービス業などでは、長年の商慣習や取引先との関係から受発注窓口としてFAXを使用しています。
しかし、紙のFAXによる受発注業務は、見えないところで膨大な時間とコストを消費し、企業の足かせとなっていることをご存知でしょうか?
この記事では、紙のFAXによる受発注業務を行っている企業担当者の方々が抱える課題を明確にし、FAXを廃止することなく業務を劇的に効率化する方法をご紹介します。「FAXだから仕方ない」という諦めから脱却し、業務効率化を実現するヒントとしてお役立てください。
なぜ紙のFAXは非効率なのか?
受発注業務に紙のFAXを使っている場合、その管理や処理に多くの時間や労力を費やしています。紙のFAX業務に潜む非効率は以下のようなものが挙げられます。
保管と維持に費用がかかる
紙のFAXは受信時に印刷する必要があるため、印刷用紙やインク(トナー)などの消耗品費が継続的に発生します。FAX機や複合機のリース料金、保守費用、専用の電話回線費用(アナログ回線)もランニングコストとして無視できません。
また、受発注書は税法上の理由などから一定期間の保管が義務付けられています。そのため、大量の紙の書類を保管するための物理的なスペースが必要となり、キャビネットがオフィスの一角を占有することも少なくありません。
情報の散逸
受信したFAXは日付や取引先ごとにファイリングされ、必要な時に探し出す作業が発生します。紙媒体の場合、データと違って検索機能で抽出することができません。膨大な量の資料から目的のFAXを見つけるのは作業は骨の折れる作業となり、担当者は貴重な時間を奪われています。
送受信作業に手間がかかる
紙のFAX送受信では複合機やFAX機を利用するため、人の手を介するアナログ作業が必須です。FAX送信の際は、複合機まで出向いてFAX番号を入力し、エラーが出ないか目視で確認をする必要があります。FAX受信の際は印刷されたFAXを複合機から回収し、中身の確認、振り分け、担当者への配付をしなければなりません。一つひとつの作業は小さなものでも、件数が増えれば担当者には大きな負担となっていきます。
情報共有と連携の遅延
FAX内容を関係者と共有する場合、紙をコピーして回覧する方法が主流です。そのため情報共有にタイムラグが生じ、意思決定の遅れや業務の停滞を招く可能性があります。
また、紙のFAXで受けた注文内容は、基幹システムや顧客管理システムと直接連携できません。そのため、FAXの内容をシステムに手入力する二度手間が発生します。作業に時間がかかるだけでなく、入力ミスやデータの不整合を引き起こす原因となります。
紙の管理がもたらすリスクとその影響
紙のFAX業務は単に非効率なだけでなく、企業のセキュリティとコンプライアンスを脅かす要因となりえます。
情報漏洩のリスク
FAX番号の入力ミスやセットする原稿の間違いによる誤送信は、顧客の個人情報、取引内容、契約情報、あるいは自社の機密情報が意図しない第三者の手に渡る重大な情報漏洩に直結します。一度流出した情報は取り返しがつかず、企業の信用を大きく損ないます。
作業中や移動中の紛失。複合機からの回収忘れやデスク上への放置によって起こる盗難。不要になったFAXをシュレッダー処理せず、ゴミとしてそのまま廃棄してしまったことによる情報の漏えい。このような不適切な管理環境が原因となって機密情報が持ち出されるリスクを伴います。
人的ミスの誘発
FAXの内容をシステムに手入力する際、数字の打ち間違いや品目の選択ミスなど、人的ミスが起こりえます。これにより、誤った商品の発注や受注、数量の間違いが発生し、顧客への迷惑、返品・交換の手間、在庫の不足・過多など、信頼の失墜と多大な損害につながります。
また、1日に受信するFAX件数が多いほど、確認漏れや対応漏れのリスクが大きくなります。大量のFAXの中に重要な連絡が埋もれ、対応が遅れると、納期遅延やクレーム発生の原因となり、顧客満足度の低下を招きます。
災害時の業務継続性(BCP)問題
物理的なFAX機や複合機と電話回線に依存する紙のFAXは、災害発生時の事業継続性が困難になる可能性があります。
地震、火災、水害などの災害が発生し、FAX機や複合機、紙のFAXが物理的な損害を受けた場合、業務に必要な情報が失われます。修理や買い替えが可能なFAX機や複合機と違い、紙の書類は復元が難しく業務に支障をきたします。
また大きな災害でなくても、電車の遅延や交通マヒなどでオフィスに出社できないだけで、FAX機や複合機を使用できずFAXによる受発注業務が完全に停止してしまいます。これは重大な業務継続性(BCP)の課題と言えます。
FAXをやめずに紙のFAXを減らす方法
ここからは、「FAXは非効率だけれど、取引先との関係でFAX自体を廃止するのは難しい……」と感じる方向けに、FAX自体は継続しつつ、紙の業務から脱却する方法について紹介します。
複合機のペーパーレスFAX機能(PC-FAX機能)を活用
ビジネス向け複合機には、FAXを紙に印刷せずにデータとして受信できる機能(PC-FAX機能)があります。現在使用している複合機にPC-FAX機能が搭載されている場合、受信データをメールで送ったり、フォルダに保存したりできるため、紙を使わずにFAXを運用できます。
メリット
- 新たな機器導入が不要
- FAXの印刷枚数を削減
- 使い慣れた複合機を利用できる
メリット・留意点
- PC-FAX機能が搭載されている複合機が必要
- 高度なシステム連携機能には対応不可
- 災害時のBCP対策としては不十分(複合機が物理的に被災すると業務が停止する)
FAXサーバーの導入(オンプレミス型)
社内ネットワーク内にFAXサーバーを構築し、パソコンからFAXの送受信を行う方法です。電話回線はFAXサーバーに接続されますが、各パソコンからはネットワーク経由でFAXを利用できます。
メリット
- 紙の消費がゼロに
- 既存の電話回線・FAX番号を維持可能
- 自社のセキュリティポリシーに基づいて運用可能
- 社内の他システムとの連携が比較的容易
メリット・留意点
- 初期導入費用が高くなる傾向がある
- サーバーの構築・運用・保守に専門知識が必要
- 災害時のBCP対策としては不十分(サーバーが被災するリスクがある)
インターネットFAX(クラウドFAX)の導入
インターネット回線を利用してFAXの送受信を行うサービスです。従来のFAX機や複合機を使用せず、パソコンやスマートフォンからFAXを送受信できます。受信したFAXはPDFなどのデータとして保存され、紙に印刷する必要がありません。
メリット
- 紙の消費がゼロに
- どこにいてもFAX対応可能
- データの一元管理と高い検索性
- サーバー構築・運用・保守の負担がかからない
- BCP対策を強化
メリット・留意点
- 既存のFAX番号を継続利用できない場合がある
- 通信の安定性はインターネット回線に依存する
受発注業務の効率化にはインターネットFAXがお勧め
前章でご紹介した選択肢の中から、自社の現状、予算、求める機能、そして取引先との関係性を考慮し、最適な方法を選ぶことが重要です。ここからは、選択肢の中でも特に初期投資を抑えつつ、様々なメリットを享受できるインターネットFAX(クラウドFAX)についてご紹介します。
ペーパーレス化で業務スピードアップとコスト削減を実現
最大の特徴は、FAXを電子化・ペーパーレス化し紙を介さずデジタルで運用できることです。
受信した注文書や問い合わせFAXは、パソコンやスマートフォンにデータとして届きます。印刷の必要がないため、複合機までFAXを取りに行く手間がなくなります。発注書や返信FAXの送信も、複合機を介さずに、パソコンで文書ファイルを作成し直接FAXとして送信できます。
FAXを電子化・ペーパーレス化することで、紙代、インク代(トナー代)といった消耗品が不要になるのはもちろん、FAX機や複合機のリース料金、保守費用、専用回線の維持費用なども必要なくなり、消耗品の大幅なコスト削減につながります。
情報の検索性と共有性の向上
データとして扱われることで、情報の管理と活用が格段に効率的になります。
受信FAXはデータ化されているため、ファイル名や受信日時、FAX内のキーワードで検索可能です。過去の注文書や取引履歴を、膨大な紙の山から探す手間はから解放され、必要な情報を瞬時に探し出すことができます。
受信したFAXデータは、チャットツールや共有フォルダなどを介してデジタル形式で簡単に社内共有できます。場所やデバイスに縛られず、どこからでもFAXデータを確認できるため、関係者への迅速な情報共有が可能です。
FAX仕分けと返信作業の自動化による効率化
FAXの電子化だけでなく仕分けや返信作業を自動化などFAX業務を自動化する機能を利用できます。
FAXの自動仕分けでは、受信FAXの送信元番号や件名、内容などに基づいて自動的に担当者や部署に振り分けが可能です。これにより、手作業で行っていた振り分け先の確認や仕分け、担当者への配付といった手間がなくなります。
受発注業務では、定型的な内容を返信することも少なくありません。インターネットFAXでは、定型文を使って返信FAXを作成したり、自動返信でFAXの送達連絡などをしたりできます。業務効率化を実現し、担当者は煩雑な作業から解放されます。またオペレーションの統一や対応漏れなどのミス削減にも有効です。
業務システムとの連携でさらなる自動化を実現
FAXをデータでやり取りするため、既存の業務システムとの連携が可能となります。
受信FAXの内容に基づいて処理フローを自動化し、FAX受信内容をシームレスに業務システムに反映することで、業務効率化を実現します。手入力の手間を省くことで、担当者の負担が減るだけでなく、入力ミスなどの削減にもつながります。
また、業務システムとの連携は、データの一貫性を保つ上でも重要です。異なるシステム間でのデータ共有がスムーズになり、情報の整合性が確保されます。これにより、社内外のコミュニケーションがスムーズに進行し、業務の透明性が向上します。
場所にとらわれない働き方を推進
インターネット環境があれば、、場所や時間を問わずにアクセスできるため、多様な働き方に対応可能です。外出先やテレワーク(在宅勤務)でもオフィスにいるときと同等のFAX業務を行うことができ、柔軟な働き方を支援します。これにより業務効率向上や従業員のワークライフバランスの改善にも寄与します。
災害時にも強いBCP対策
インターネット環境があればどこからでも利用可能なため、BCP(事業継続計画)対策としても有効です。
送受信したFAXデータはクラウド上に保存・管理されています。データのバックアップが容易で情報の保全性が高いことも特長です。また、オフィスが被災したり出社できない状況でも、自宅や他の場所でFAX業務を継続できます。これにより、万が一の事態でも取引先との重要な連絡手段を確保し、事業停止のリスクを最小限に抑えられます。
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