FAXで個人情報漏洩が起こるのはなぜ? 主な原因とリスク、防止策を解説

FAXは今でも多くの企業で取引先とのやり取りに利用されていますが、「個人情報漏洩」のリスクが潜んでいます。FAX番号の入力ミスや送信先の選択ミス、受信原稿の放置など、些細な不注意が重大な情報漏洩につながることも珍しくありません。そのような漏洩事故は、企業の信用失墜や損害賠償請求など深刻な問題を招くケースもあります。
今回は、FAXで個人情報が漏洩する主な原因と、その結果企業が受けるリスク、すぐに実践できる防止策について解説します。安全なFAX運用を実現するためのポイントを押さえ、リスクを最小限に抑えましょう。
FAXで個人情報漏洩が起こる主な原因
FAXの利用には常に情報漏洩のリスクが伴います。どのようにして個人情報が漏洩するのか、主な原因を3つ解説します。
送信ミス
FAXによる情報漏洩の中でも、最も発生しやすいのが「送信ミス」によるものです。FAX番号の入力違いや宛先の選択ミスといったヒューマンエラーが、重大な個人情報流出につながるケースは少なくありません。
FAXは一度送信してしまうと取り消しができず、相手側の手元に原稿が届いてしまうため、誤送信が発覚した後に情報を回収することが困難です。
受信書類の管理ミス
FAXの受信時にも、見落とされがちな情報漏洩リスクが潜んでいます。
多くのオフィスでは、共有スペースにFAX機が設置されており、受信した書類がトレイにそのまま置かれているケースが一般的です。
この状態では、関係者以外の従業員や来訪者が誤って書類を目にしたり、持ち出してしまったりする可能性があります。
組織体制の不備
FAXによる情報漏洩は、個人のミスだけでなく、組織全体のセキュリティ意識や運用体制の問題に起因するケースも多くあります。
例えば、従業員に対する情報管理教育が行き届いていない、送信前のダブルチェック体制が存在しない、誤送信発生時の報告、対応ルールが定まっていないなど、仕組みに不備があるとヒューマンエラーが発生しやすくなります。
FAXの個人情報漏洩によって引き起こされる問題
ここでは、FAXで個人情報を漏洩させてしまった場合の企業が被る損害について解説します。
企業の信用低下
一度でも顧客や取引先の情報を流出させてしまうと、企業に対する信頼は一気に揺らぎます。たとえ偶発的なトラブルであっても、「情報管理がずさんな企業」という印象を与えかねません。
その結果、既存の取引停止、あるいは新規契約の打ち切りや受注減少といったビジネス上の損失につながる可能性があります。
さらに、SNSや口コミサイトなどで漏洩の事実が拡散すれば、ブランドイメージの低下はいっそう加速します。
損害賠償リスク
個人情報の漏洩によって被害を受けた顧客や取引先が、企業に対して損害賠償を請求するケースがあります。
例えば、誤送信で顧客リストや契約情報が第三者に渡ってしまった場合、その情報を悪用された被害者から訴訟を起こされる恐れがあります。
特に、漏洩した個人情報の件数が多い場合や、機密性の高いデータが含まれていた場合は、賠償額が高額になる可能性もあり、企業の経営を圧迫する深刻なダメージとなりかねません。
インシデント対応コスト
FAXによる個人情報漏洩が発覚した場合、企業は迅速かつ誠実な対応を求められ、膨大なコストがかかります。まず、被害を受けた顧客や取引先への経緯説明や謝罪対応、マスコミや監督官庁への報告が必要です。
さらに、漏洩の原因を特定し、再発防止策を策定するための調査や会議、外部専門家の支援費用なども発生します。従業員への再教育や、社内ルールの見直しも不可欠です。
このような対応は、直接的な費用だけでなく、本来の業務を止めて行うことによる生産性低下も招きます。
FAXの個人情報漏洩を防止するための対策
FAXによる個人情報漏洩の多くは、基本的な確認や管理が徹底されていないことが原因です。逆にいえば、FAX業務 の中でいくつかのルールと仕組みを整備するだけで、リスクを大幅に軽減できます。
ここでは、企業が最低限実施したい誤送信の防止策を4つ紹介します。
送信前の確認を徹底する
FAXの誤送信を防ぐ上で、送信前の確認を確実に行うことは基本かつ有効な対策です。
FAX番号の入力ミスや宛先の選択間違いは、わずかな不注意で起こり得ます。そのため、送信者本人だけでなく、第三者によるダブルチェックを義務づけることで、人為的なミスを大幅に減らすことが可能です。
また、「送信前チェックリスト」を作成し、宛先や原稿内容、添付書類などの確認項目を明文化しておくと、誰が操作しても一定の基準で安全に送信できます。
さらに、送信結果レポートの確認を習慣化することで、誤送信の有無を早期に把握し、現場で迅速な初期対応をとれるようになります。
受信環境を見直す
オフィスの共用スペースに設置されたFAX機は多くの人の目に触れやすく、受信原稿が第三者に見られるリスクがあります。こうしたリスクを抑えるには、書類の放置を防ぎ、物理的に安全な環境を整えることが欠かせません。
まず、受信した書類をすぐに回収する運用を徹底し、担当者を明確にしておきましょう。原稿がトレイに放置される時間を最小限にするだけでも、誤閲覧や持ち出しのリスクを抑えられます。
さらに、受信文書の保管場所は限定し、鍵付きキャビネットなどを活用して安全に管理することが効果的です。不要になった書類についても、一般ごみとして廃棄するのではなく、シュレッダーで適切に処理するルールを設けると安心です。
組織全体で対策を講じる
FAXによる情報漏洩を防ぐには、個人の注意だけに頼るのではなく、組織全体で仕組みづくりをすることが重要です。
まず、FAXの利用ルールや確認手順を社内規定として明文化し、すべての従業員に共有しましょう。送信前のチェック方法や受信文書の扱い方など、日常業務に関わるルールを策定 しておくことで、誰もが迷わず対応できる体制が整います。
また、誤送信や情報漏洩などのトラブルが発生した際に備え、報告の手順や再発防止策をあらかじめ文書化しておくことで、迅速で適切な対応が可能になります。
さらに、定期的な情報セキュリティ研修を通じて、全社的な意識向上を図ることも、継続的なリスク低減につながります。あわせて、FAX業務の責任者を明確にし、運用状況を定期的に点検、改善していく仕組みも整備しましょう。
安全対策ツールを導入する
ヒューマンエラーを完全に防ぐことは困難なため、ITツールなど技術的な対策を 取り入れることも効果的です。
例えば、誤送信防止機能や送信制限機能を備えた専用ツールを導入することで、宛先確認のポップアップ表示や承認フローの設定が可能となり、誤操作のリスクを低減できます。
また、従来の紙ベースの運用からクラウドFAXへの移行を検討することも、有効な選択肢のひとつです。
クラウドFAXはPC上での送受信により、紙の書類を取り扱う際に生じやすい置き忘れや誤閲覧のリスクをなくせます。加えて、送受信データの暗号化やアクセス制限機能なども備えているため、情報漏洩の防止に寄与します。
安全にFAX業務を行うなら「まいと~く Cloud」が最適
FAXによる個人情報漏洩を防ぎつつ、業務の効率化を図りたい企業には、クラウドFAXサービス「まいと~く Cloud」の導入がお勧めです。
従来の紙FAXとは異なり、送受信をクラウド上で一元管理できます。そのため、紙の原稿を印刷、配付する必要がなく、書類の置き忘れや誤送信といったヒューマンエラーの抑制につながります。
通信はすべて暗号化されており、外部からの盗聴や改ざんリスクにも対応しています。
さらに、IPアドレス制限やアクセス権限設定、誤送信防止オプションなど、セキュリティを強化するための機能も充実しています。
FAX業務の見直しやセキュリティ対策をご検討中の方は、ぜひ以下より詳細をご覧ください。
まとめ
FAXは今なお多くの業務で利用されていますが、その一方で個人情報漏洩のリスクが常に存在します。誤送信や書類の放置といった人的ミスだけでなく、管理体制や機器のセキュリティ不備など、様々な要因がトラブルを引き起こす可能性があります。
企業としては、送信前確認の徹底や受信環境の見直しに加え、組織全体でのルール整備と技術的な対策を組み合わせることが重要です。特に、クラウドFAXのようなセキュリティ機能を備えた仕組みを導入すれば、情報漏洩リスクを最小限に抑えながら、効率的なFAX業務を実現できるでしょう。
