コラム

FAXを転送する方法|メリットや注意点を解説

FAXは、今もなおビジネスシーンで使われている重要な通信手段です。しかし、「オフィスにいないと確認できない」「紙での管理が面倒」など、不便さを感じる場面も少なくありません。こうした課題を解決する方法の1つが、「メールに転送する機能」 です。

今回は、FAXを複合機からメールに転送する具体的な方法やメリット、注意したいポイントについて解説します。

FAXを複合機からメールに転送する方法

ここでは、代表的なメーカーの複合機を使って、FAXをメールに転送するための設定方法を3つのステップに分けて解説します。基本的な流れを押さえておけば、機種ごとの差異にも柔軟に対応できるため、ぜひ参考にしてみてください。

ステップ1|初期設定をする

まずは、複合機でFAXをメールに転送するための 初期設定をします。

  1. 操作パネルから「設定」を押し、「システム設定」へ
  2. 「送信(メール/フォルダー)」→「メール」と進み、SMTPサーバーの設定へ
  3. 「SMTPサーバー」→「サーバー名」の順に押し、契約中のメールサービスのFQDNまたはIPv4アドレスを入力
  4. SSL通信の有無を選択し、ポート番号を入力
  5. 入力内容に間違いがないか確認したら「接続テスト」を実行

上記の手順で正常に設定できていれば「サーバーとの接続に成功しました」と表示されます。最後に「確認」を押し、ホーム画面に戻れば初期設定は完了です。

入力内容にミスがあれば「接続に失敗しました」と表示されます。その場合は、サーバー名やポート番号などの情報を再確認しましょう。何度も失敗する場合は、メールサービスの提供元に問い合わせ、正確な設定情報を入手することをお勧めします。

ステップ2|アドレス帳に送信先アドレスを登録する

初期設定が終わった後は、FAXを転送するメールアドレスを複合機に登録します。

  • 操作パネルから「設定」→「システム設定」→「送信(メール/フォルダー)」→「メール」と進み、「管理者メールアドレス」に管理者(送信元)のメールアドレスを入力

入力後は「送信者名自動指定」を「する」に設定しておくと、送信時に自動で名前が表示されるため便利です。次に、転送先となるメールアドレスをアドレス帳に登録します。

  1. 「アドレス帳」→「新規登録」→「名前」を入力し、「メールアドレス」の欄に転送先のアドレスを入力(「ヨミガナ」と「表示名」は名前入力後に自動生成されることが多い)
  2. 「SMTPサーバー経由」欄が「経由する」になっているか確認
  3. 最後に「OK」→「閉じる」で登録は完了

これでFAX受信時にメールへの転送が可能になります。

ステップ3|メール転送の設定をする

最後に、FAXを受信した際にメールへ自動転送されるように 設定します。

  1. 操作パネルから「設定」→「ファクス設定」→「受信設定」→「受信文書設定」→「文書受信時の動作設定」と進む
  2. 「メモリー転送」を「する」に設定
  3. 「メモリー転送設定」→「転送先」→「ファクス」→「メールアドレス」の順に押し、事前に登録した転送先アドレスを選ぶ
  4. 設定後は「OK」を押し、文書受信時の動作設定画面でも「OK」を押してからホームに戻ると完了

機種によっては転送後にFAXを紙で印刷するかどうかも選べます。「文書受信時の動作設定」画面に「印刷」の項目が表示される場合は、「する」か「しない」を選んでおきましょう。

FAXをメールに転送するメリット

FAXのメール転送機能は、単に紙の出力を省くだけでなく、業務の効率化やセキュリティの向上にもつながる便利な機能です。

ここでは、FAXをメールに転送することで得られるメリットについて解説します。

時間や場所にとらわれずにFAXを確認できる

FAXのメール転送機能を活用すれば、出張先や外出先、自宅でも会社に届いたFAXをリアルタイムで確認できます。スマートフォンやパソコンでメールをチェックするだけで内容を把握できるため、迅速な対応が可能です。

オフィスのFAX機まで足を運ぶ必要がなくなるため、出張やテレワーク中でも業務の流れを止めずに済むのが大きな利点です。このような柔軟な働き方が可能になることで、業務効率も向上します。

複数人に同時転送ができる

取引先から届いたFAXを複数のメールアドレスに同時に送信することで、特定の部署やチーム全体で情報を瞬時に共有できる点もメリットです。

例えば、営業部と経理部の両方に関係するFAXが届いた場合、各部門の担当者へ一括で送信できるため、連携ミスや情報伝達の遅延を防ぐことが可能です。

また、これまでFAXを受け取った人が内容をスキャンし、他のメンバーに転送していたような手間も不要になります。

書類管理の手間を省ける

FAXを紙で管理していると、ファイリングや保管に手間がかかります。大量の書類を仕分ける作業や、保管スペースの確保にもコストがかかるでしょう。

しかし、FAXをメールに転送してデータ化すれば、受信後すぐにパソコン上のフォルダに分類や保存ができ、管理が効率化されます。

さらに、検索機能を活用すれば必要な情報をすぐに見つけられ、紙の書類よりも便利です。紛失や劣化のリスクも抑えられるため、重要書類の保存にも適しています。

FAXを複合機からメールに転送する際の注意点

FAXをメールに転送することで得られるメリットは多いものの、運用する際にはいくつかの注意点があります。

ここでは、FAXをメール転送する際にあらかじめ知っておきたいポイントを解説します。

FAXのメール転送はすべての複合機でできるわけではない

すべての複合機がFAXのメール転送に対応しているわけではありません。古い機種や低価格帯のモデルでは、メール転送機能が搭載されていないケースもあります。

また、一部の機種では転送後のデータが複合機内に残らない仕様になっており、履歴を確認できない不便さを感じることもあります。

FAXの転送設定を検討する際には、まず自社で使用している複合機が対応しているかを確認しましょう。場合によっては、対応機種への買い替えやオプション機能の追加が必要になる可能性があります。

機種によっては件名がすべて同じになることもある

複合機の機種によっては、FAXをメールで転送する際に件名がすべて同じ内容になる場合があります。例えば、「受信FAXのお知らせ」などの固定タイトルで送信されるため、受信トレイに同じ件名のメールが並び、仕分けづらくなることがあります。

特に受信件数が多い部署では、どのFAXがどの顧客から来たものかを一件ずつ開いて確認しなければならず、かえって作業負担が増えてしまうこともあるでしょう。

機種を選ぶ際は、メールの件名をカスタマイズできるかどうかも重要なポイントです。

ITに詳しくない場合は設定に苦戦することもある

FAXのメール転送を利用するには、複合機での初期設定やSMTPサーバー情報の入力が必要です。そのため、一定のIT知識が求められます。

設定項目にはSSLやポート番号などの専門用語も含まれており、普段からIT業務に関わっていないスタッフにとっては、設定のハードルが高く感じられるかもしれません。

また、事業所ごとに複合機のメーカーが異なる場合、設定手順にもバラつきがあるため、より複雑になることがあります。スムーズに設定を進めるためにも、必要に応じてメーカーのサポート窓口に相談したり、あらかじめマニュアルを準備したりすることが大切です。

Gmailに転送する場合はエラーになることがある

FAXをGmailに転送しようとした際に、メールが届かない、あるいは送信エラーになるというケースがあります。これは、Googleが2022年5月30日にセキュリティ仕様を強化したためです。

対処法としては、「アプリパスワード」と呼ばれる一時的な認証キーを発行して設定する方法があります。ただし、転送先としての安定性や管理のしやすさを重視する場合は、企業ドメインの専用メールアドレスの利用を検討するのも1つの選択肢です。

セキュリティリスクがあることを理解しておく

FAXをメールで転送する場合、デジタルデータがインターネットを通じてやり取りされるため、情報漏洩などのセキュリティリスクが伴います。

例えば、「誤ったメールアドレスに転送してしまった」「社外の関係者にも閲覧可能な共有フォルダに保存してしまった」といったケースでは、意図しない情報漏洩が発生する可能性があります。

また、通信経路が暗号化されていない場合、データの盗み見といった被害にもつながりかねません。

こうしたリスクを軽減するには、転送時の宛先確認を徹底するとともに、送信元ドメインの制限やメールの暗号化など、必要なセキュリティ対策を講じることが重要です。

FAX業務を効率化するならクラウドFAXの「まいと~く Cloud」がおすすめ

FAXのメール転送機能は便利ですが、機種によっては作業負担が増えたり、セキュリティリスクを伴ったりすることがあるため、あらかじめ複合機の機能を確認し、自社で使えるか確認することが大切です。

さらに効率化を図る場合はクラウドFAXサービス「まいと~く Cloud」の導入をご検討ください。

まいと~く Cloud」は、従来のFAX機や複合機に依存せず、インターネット経由でFAXの送受信ができるサービスです。受信したFAXを自動でクラウド上に保存し、メール感覚で一元管理できます。

導入にあたっては、専用のサポート窓口や、有償の運用支援サービスが用意されており、初めての方でも安心して利用を開始できます。また、サーバーの構築や回線工事は不要で、情報システム部門がない企業や小規模オフィスでもスムーズに導入できるのも大きな魅力です。

「FAX業務をもっと効率化したい」とお考えの方は、無料トライアルを試してみてください。

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まとめ

FAXのメール転送は、場所にとらわれずにFAXを送受信できるほか、情報共有や書類管理の効率化にもつながります。ただし、利用している複合機の機種やセキュリティ設定によっては、注意が必要な点もあります。

FAX業務をさらに効率化したい場合は、パソコンにインストールするFAXソフトや、インターネットFAXなどのクラウドサービスなどの導入も検討してみましょう。

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