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PC管理はなぜ必要? 管理項目や方法、ツールの選び方を解説

PC管理
PC管理はなぜ必要? 管理項目や方法、ツールの選び方を解説

近年、ほとんどの企業で当たり前のようにパソコンが利用されています。情報漏洩などが起きないように、ログ監視などを含めたセキュリティ対策を行っている企業も多いでしょう。
もちろん、情報漏洩を防ぐためにセキュリティソフトなどで対策することも、安全にパソコンを利用する上で重要です。しかし、パソコンそのものの管理がおろそかになっているようでは、万全とはいえません。
本記事では、PC管理の重要性や基本的な管理項目のほか、管理方法について解説します。併せて、PC管理ツールの選び方などについても紹介します。

PC管理とは企業が保有するパソコンとそのデータに関する情報を管理すること

PC管理とは、企業が保有しているパソコンとパソコン内のデータなどの情報を適切に管理することです。
どのようなパソコンを何台保有していて、どこで使われているのかといった物理的な状況に関する情報のほか、OSやインストールされているソフトウェアの情報、アップデート履歴といったデータに関する情報の管理も含まれます。

PC管理は、資産管理のためにも、企業が保有する情報を守るためにも重要であり、適切な管理を行わなければなりません。

PC管理の必要性

PC管理が適切に行えていないと、企業活動に悪影響が出る可能性があります。主に、リスクとコストに関する下記のような理由から、PC管理は必須といえます。

PC管理が必要な理由
理由 概要
資産の適切な管理 減価償却など固定資産としての適切な管理や、無駄な購入を防ぐコスト管理が必要になる
コンプライアンス対策 不正コピーされたソフトウェアや、違法性のあるソフトウェアなどの使用、私的利用といったコンプライアンスリスクを防ぐ
セキュリティ対策 OSのバージョンやセキュリティソフトを含む各種ソフトウェアのバージョンを把握することで、セキュリティのレベルを維持する

資産の適切な管理

パソコンは、企業が保有する資産の1つです。購入価額によっては固定資産として減価償却しなければならないこともあるため、いつ、いくらで買ったパソコンなのか、現在使用されているのかといった点を確認しなければなりません。

また、パソコンの保有台数や所在場所などを適切に管理できれば、「使っていないパソコンがあったのに、新入社員のために新しいパソコンを購入してしまった」といった無駄を防ぐことも可能です。PC管理には、パソコンだけでなくソフトウェアの管理も含まれるため、適切な管理により不要なソフトの購入を防ぐ効果も期待できます。

コンプライアンス対策

PC管理を適切に行い、インストールされているソフトやパソコンの所在を明らかにしておくことで、コンプライアンス違反が起こるリスクを低減することができます。
ソフトウェア管理を厳密に行っていれば、従業員が不正にコピーされたソフトウェアや、違法性のあるソフトウェアを使ってしまう事態は起こりません。また、パソコンが今どこにあり、誰が使っているのかを明確にしておけば、業務用のパソコンの勝手な持ち帰りや私的利用などの問題も起こりにくくなるでしょう。

セキュリティ対策

PC管理では、OSのバージョンやセキュリティソフトを含む各種ソフトウェアのバージョンなども把握します。セキュリティの高い最新の状態を保てているかどうかを確認することになるため、アップデートが行われていない場合のフォローもスピーディに行えます。

また、パソコンがどこにあるのかを把握することで、監視の目が届かない場所への持ち出しを防ぎ、情報漏洩や不正アクセスの防止に役立てることも可能です。

情報資産について詳しくは、下記の記事をご参照ください。

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PC管理における基本的な管理項目

PC管理の基本的な管理項目として挙げられるのは、「資産管理」「インベントリ管理」「ライセンス管理」の3つです。それぞれ管理する内容は、下記の通りです。

PC管理における管理項目の概要
項目 概要
資産管理 固定資産として、管理台帳に保有しているパソコンについて、取得から廃棄までを記録する
インベントリ管理 パソコン本体ではなく、パソコンの製品名や、CPU、ハードディスク容量、メモリといったスペック情報のほか、OSのバージョン、インストールされているソフトウェア、IPアドレス、利用者などの情報を管理する
ライセンス管理 パソコンにインストールされているソフトウェアについて、それぞれのライセンス形態やライセンスの期限、バージョンなどのライセンス情報を管理する

資産管理

PC管理は、そもそも資産管理を目的として行われるものでした。企業は、適切な会計を行うためにも自社の持つ資産を正確に把握しておく必要があり、パソコンも例外ではありません。固定資産として、管理台帳に保有しているパソコンについて、取得から廃棄までを記録する必要があります。

IT資産管理について詳しくは、下記の記事をご参照ください。

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インベントリ管理

「インベントリ」とは、保有資産や目録という意味です。そのため、資産管理とほぼ同じことのように感じられるかもしれませんが、インベントリ管理では、固定資産としてのパソコン本体ではなく、パソコンの製品名や、CPU、ハードディスク容量、メモリといったスペック情報のほか、OSのバージョン、インストールされているソフトウェア、IPアドレス、利用者などの情報を管理します。

保有しているパソコンに関する情報を細かく把握しておくことで、トラブル発生時のスピーディな対応や、セキュリティ上の問題が発生しないかどうかの確認などが可能になります。

ライセンス管理

ライセンス管理とは、パソコンにインストールされているソフトウェアのライセンス情報を管理することです。利用しているソフトウェアと、それぞれのライセンス形態やライセンスの期限、バージョンなどについて管理します。これらの情報は、社内でのソフトウェアの使われ方がライセンス契約に違反していないかを確認するのに役立ちます。
保有しているパソコンに関連する情報だけでなく、ライセンスの情報についても管理するのが、PC管理なのです。

ライセンス管理について詳しくは、下記の記事をご参照ください。

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PC管理を効率化する方法

パソコンが数台程度であれば、管理ツールなどを利用せずに、Excelの管理台帳に手入力してPC管理を行うことも難しくないかもしれません。しかし、まとまった台数のパソコンを正確に管理しようとするのであれば、手入力では多くの時間を要し、ミスをするリスクも高いため、非現実的です。
正確にPC管理を行うのであれば、下記のいずれかの方法をとりましょう。

PC管理を効率化する主な方法
方法 概要
ITコンサルティング業者やベンダーを活用する PC管理について専門性の高い知識を有するITコンサルティング業者やPC管理ツールのベンダーなどに、コンサルティングを依頼する
PC管理ツールを導入する 台帳の作成や更新、ライセンス管理、インベントリ収集などを自動で行えるツールを導入し、社内で管理する

ITコンサルティング業者やベンダーを活用する

PC管理について専門性の高い知識を有するITコンサルティング業者やPC管理ツールのベンダーなどは、PC管理を含むIT資産管理のコンサルティングを行っています。コストは比較的高額ですが、「管理台数が多くて、どこから手をつければいいかわからない」といった場合には効果的です。

ただし、ITコンサルティング業者に行ってもらえるのはあくまでもコンサルティングであり、管理体制の構築を様々な方法で支援してくれますが、管理業務そのものを委託できるわけではありません。企業の情報をヒアリングした上で、適したツールの選定や導入支援、運用フローの作成などを行います。
また、ベンダーは、IT資産の運用全般について自社ツールを活用してサポートを行い、そのツールの運用方法について相談にのってもらうことが可能です。

自社にITに詳しい人材がいない場合は、これらのサービスを利用することで、時間をかけずに適切な管理体制を導入できます。

PC管理ツールを導入する

専用ツールを導入して社内で管理を行うのも、PC管理の代表的な方法です。台帳の作成や更新、ライセンス管理、インベントリ収集などを自動で行えるツールを活用すれば、管理担当者の手間を大幅に削減できます。

ただし、PC管理ツールを使いこなすためには、IT資産に関する一定の知識が必要です。不安がある場合は、上記で紹介したベンダーによる支援を受けることも視野に入れ、導入支援を行っているツールや、サポート体制の手厚いツールを選ぶといいでしょう。

PC管理を行う際の手順

PC管理を効果的に進めるためには、明確な手順を踏んで実施することが重要です。単にパソコンをリスト化するだけでなく、ポリシーの策定からセキュリティ対策、定期的な棚卸しや改善までを一連のプロセスとして管理する必要があります。

下記で、PC管理を行う際の基本的な手順をまとめました。

PC管理を行う際の基本的な手順
手順 概要
1.管理ポリシーの策定 パソコンやIT資産の基本方針・セキュリティ基準を定め、利用ルールを策定する
2.PCと関連情報の登録 業務用パソコンをすべて特定し、OSやソフトウェア、購入日などを記録する
3.ライセンス情報の登録 ソフトウェアライセンスの状況を管理し、契約数や更新期限などを把握する
4.セキュリティ対策の導入 ウイルス対策ソフトの導入やアップデートの適用など、必要なセキュリティを整備する
5.インシデント発生時の対応計画の策定 セキュリティインシデントやライセンス違反時の対応計画を事前に策定する
6.定期的な棚卸しとリスク評価 定期的に棚卸しを行い、リスク管理の不十分な部分を洗い出して改善する
7.定期的な管理ポリシーの見直し 社会状況や技術変化に応じて管理ポリシーを更新し、常に最新の状態に保つ

1.管理ポリシーの策定

PC管理の出発点となるのが「管理ポリシー」の策定です。これは、企業が所有するパソコンやIT資産をどのように扱い、どのようなルールで運用するのかを明確にする基本方針のことを指します。具体的には、下記の各項目をあらかじめ定めておくことが必要です。

管理ポリシーに必要な主な項目
  • セキュリティ基準(パスワードの要件、アクセス権限の設定、アップデートの義務付けなど)
  • 使用を許可するソフトウェアや禁止するアプリケーションのルール
  • 古いバージョンのOSやソフトウェアの利用可否や許容基準
  • 外部デバイス(USBメモリなど)の使用ルール

2.パソコンと関連情報の登録

管理ポリシーを策定したら、次のステップはパソコンと関連情報の登録です。業務で使用しているすべてのパソコンを特定し、管理用の台帳やシステムに登録していく作業が必要になります。登録する情報の例は、下記の通りです。

管理台帳などに登録する情報の例
  • パソコンの機種名、製造番号、購入日
  • OSの種類とバージョン
  • インストールされている主要なソフトウェア
  • 使用している従業員の氏名や所属部署

これらの情報を正確に記録し、部署間での利用状況を可視化することで、余っているパソコンの再配置など資産の有効活用にもつながります。

3.ライセンス情報の登録

パソコンと関連情報の登録を行ったら、ライセンス情報の登録も必要です。ソフトウェアのライセンス情報を正しく登録・管理することは、コンプライアンス違反の防止や無駄なコストの削減につながります。

ライセンス情報として登録すべき主な項目は、下記の通りです。

登録が必要な主なライセンス情報
  • ソフトウェア名
  • ライセンスの種類(ボリュームライセンス、個別ライセンスなど)
  • 契約数と実際の利用数
  • 契約開始日・終了日・更新の有無

4.セキュリティ対策の導入

パソコンの関連情報やライセンス情報の登録と併せて、PC管理で欠かせないのが各端末へのセキュリティ対策の導入です。登録した業務用のパソコンすべてに適切な対策を施すことで、不正アクセスやウイルス感染、情報漏洩のリスクを大幅に低減できます。

ウイルス対策ソフトの導入や更新状況、OS・ソフトウェアのアップデート適用状況などを管理する必要があります。

5.インシデント発生時の対応計画の策定

セキュリティ対策の導入まで完了したら、インシデント発生時における対応計画の策定も必要です。

どれほど厳重にPC管理を行っていても、セキュリティインシデントやライセンス違反といったトラブルが発生する可能性はゼロではありません。そのため、インシデント発生時の初動対応手順や、担当部署・担当者の明確化、関係者や取引先への連絡フローなどをあらかじめ計画しておきましょう。

6.定期的な棚卸しとリスク評価

インシデント発生時の対応計画を策定すれば、PC管理の導入段階は完了しますが、PC管理はそれだけで終わりではありません。定期的な棚卸しによって実態と台帳の差異を確認することが大切です。

併せて、情報セキュリティリスクの評価も定期的に行い、不備があれば管理方法を改善することで、常に正確で安全な管理体制を維持できます。

7.定期的な管理ポリシーの見直し

PC管理では、棚卸しやリスク評価だけでなく、定期的に管理ポリシーも見直す必要があります。社会情勢や技術環境は常に変化しているため、一度策定した管理ポリシーを放置していると、現状にそぐわないものになる可能性もあります。

定期的に内容を見直し、最新のセキュリティ基準や業務環境に合わせて更新することで、PC管理の体制が有効な状態を維持することが重要です。

PC管理でよくある課題

PC管理は重要である一方で、実際の運用では様々な課題に直面することがあります。社会状況の変化などにより、従来の方法では十分に対応できないケースもあります。

PC管理でよく見られる課題を、下記でまとめました。

PC管理でよくある課題
課題 概要
適切な人材の確保 PC管理には幅広い知識が必要だが、専門人材が不足し、属人化のリスクもある
業務用の端末やツールの多様化 利用する端末やアプリが多様化し、一元的な管理が難しくなる
テレワークへの対応 社外からのアクセス増加に伴い、セキュリティを確保したPC管理が求められる
セキュリティ対策の高度化 サイバー攻撃が高度化し、管理対象のセキュリティ対策も複雑化している
海外展開した場合の対応 海外拠点の法規制や現地管理体制への対応が必要となり、管理が複雑化する

適切な人材の確保

適切な人材の確保が必要になる点は、PC管理でよくある課題です。

PC管理を適切に行うためには、ネットワークやサーバー、セキュリティ、ソフトウェアライセンスなど幅広い知識を持つ人材が必要です。しかし、専門人材は不足している企業も多く、限られた担当者に業務が集中して属人化するリスクがあります。

もしその担当者が退職してしまうと、それだけで管理体制の維持が困難になる可能性もあります。

業務用の端末やツールの多様化

業務用の端末やツールが多様化していることも、PC管理の課題の1つです。

従業員が使用する端末やツールは、パソコンだけでなくタブレットやスマートフォンなど多岐にわたります。さらに、業務で利用するソフトウェアやクラウドサービスの種類も増えており、それぞれの管理方法を統一しなければ管理業務自体が煩雑化してしまいます。

もし端末やツールごとに異なる方法で管理していると、情報の漏れや重複が生じ、結果的にセキュリティリスクやコスト増加を招きかねません。そのため、一元的で効率的な管理体制の構築が求められます。

テレワークへの対応

テレワークへの対応も、PC管理で直面しがちな課題といえます。

テレワークの普及により、従業員が自宅や外出先から社内ネットワークへアクセスする機会が増えました。これに伴い、オフィス外でも社内と同等のセキュリティレベルを確保できるPC管理が必要となっています。

そこで、パソコンごとにセキュリティポリシーを適用したり、リモートでの監視や制御を可能にする仕組みを導入したりすることが重要です。

セキュリティ対策の高度化

企業に求められるセキュリティ対策が高度化している点も、PC管理の課題として挙げられます。

サイバー攻撃は年々高度化・多様化しており、従来の対策だけでは不十分なケースも起こり得るため、新しい脅威への対策を継続的に導入しなければなりません。例えば、最新のウイルス対策ソフトを常に適用しなければ、第三者の攻撃を受けるリスクは高まります。

海外展開した場合の対応

企業が海外に拠点を設ける際には、現地で適用される法令や規制、規約などに配慮したPC管理を行わなければなりません。例えば、日本で使っているパソコンを海外に持ち込んだ場合、ソフトウェアによっては日本国外での利用がライセンス契約違反になることもあるため、契約の確認と管理が必要です。

現地の状況に合わせたPC管理のためには、拠点ごとに管理担当者の配置や運用ルールの整備が求められるため、国内拠点のみでの管理に比べて複雑化しやすいでしょう。

PC管理ができていない場合のリスク

PC管理を怠ると、企業は深刻なリスクに直面する可能性があります。主なリスクとしては、下記4点が挙げられます。

PC管理ができていない場合の主なリスク
リスク 概要
情報漏洩 パソコンの盗難や紛失、不正利用によって顧客情報や機密データが流出する恐れがある
ライセンス契約違反 契約期限切れや超過利用により法的リスクが発生し、訴訟や余分なコストにつながる
ウイルス感染 アップデートの未適用や不正ソフトの利用で、ウイルスやマルウェアの感染リスクが高まる
生産性の低下 不調なパソコンや故障端末を放置すると業務効率が下がり、対応にコストや時間を要する

情報漏洩

PC管理が不十分な場合のリスクの1つが、情報漏洩です。所在や利用状況を正しく把握できていないパソコンは、盗難や紛失、不正利用のリスクが高まり、顧客情報や機密データが外部に流出する恐れがあります。

情報漏洩が発生すると、企業の信頼失墜や損害賠償、取引停止など深刻な事態に発展しかねません。

ライセンス契約違反

パソコンごとにソフトウェアの利用状況を管理していないと、契約期間を過ぎても更新せずに利用を続けたり、契約数を超えてインストールしたりするリスクも発生します。これらはライセンス契約違反にあたり、最悪の場合は訴訟などの法的トラブルに発展しかねません。

また、不要なライセンスを放置していると、使われていないソフトウェアに無駄なコストを払い続けることにもなります。

ウイルス感染

PC管理が不十分だと、OSやソフトウェアのアップデートが滞ったり、ウイルス対策ソフトが未導入のまま使用されたりするリスクも発生します。その結果、脆弱性を突いた攻撃や不正アクセス、ウイルス感染などのセキュリティインシデントが生じやすくなります。

また、従業員が不用意にリスクのあるソフトウェアをインストールすることも、ウイルス感染の原因です。パソコンごとに適切なセキュリティ対策を施し、管理状況を定期的に確認することで、こうした被害を未然に防ぐことができます。

生産性の低下

PC管理ができていないと、動作が遅い端末や不具合のあるパソコンがあっても対応せずに業務を続けるケースが発生し、作業効率が低下しかねません。突然の故障が発生すれば、業務が一時的に停止し、復旧対応に多大な時間とコストがかかる可能性もあります。

適切なPC管理によって、定期的なメンテナンスや適切な機種入れ替えを行うことは、業務効率を維持するために不可欠です。

PC管理ツールの主な機能

PC管理を効率的に行うためには、専用の管理ツールを活用するのが効果的です。PC管理ツールでは、一般的には下記のような様々な機能を備えています。これらの機能により、PC管理業務の効率化のみならず、属人化の防止も可能です。

PC管理ツールの機能の代表例
機能 概要
PC管理台帳の作成 各パソコンの資産情報(スペック、OS、ソフトウェアなど)を自動収集・登録し、正確な管理台帳を整備できる
セキュリティアップデートの管理 OSやソフトウェアの更新状況を把握し、未適用のパソコンには一斉配布することができる
セキュリティ対策 不正なUSB利用や不審なサイトへのアクセスを制御し、製品によってはデータ暗号化やリモートワイプ機能もある
ログ管理 パソコンの操作ログを収集・監視し、不正行為や不審なアクセスを早期に検知できる
リモートコントロール 管理者が遠隔でパソコンを操作でき、トラブル対応や設定変更を効率的に実施できる

PC管理台帳の作成

PC管理ツールの基本機能の1つが、PC管理台帳やインベントリの自動作成です。社内のシステムに接続している端末の情報を自動的に収集し、各端末のスペックやOS、インストールされているソフトウェアなどの情報も収集できる製品があります。

簡単に管理台帳を作成できるようになり、定期的に最新情報に更新することも可能です。

セキュリティアップデートの管理

PC管理ツールを活用すれば、各パソコンのOSやソフトウェアの更新状況を一覧で確認でき、未適用のパソコンを特定することが可能です。これにより、セキュリティホールを放置するリスクを減らせます。

また、更新プログラムを一斉配布する機能があるツールを使えば、複数のパソコンに対して同時にアップデートを適用することも可能です。ソフトウェアの新規インストールやバージョンアップをリモートで一括実行できるツールもあり、作業効率とセキュリティレベルの向上を両立できるようになります。

セキュリティ対策

PC管理ツールには、不正利用や情報漏洩を防ぐための多彩なセキュリティ対策機能が備わっています。例えば、許可されていないUSBメモリの使用や、不審なWebサイトへのアクセスを即座に検知・遮断し、管理者へ通知することも可能です。また、リスクのあるソフトウェアのインストールや起動を禁止することもできます。

さらに、Windowsのデータを暗号化するBitLockerの運用を一括管理できる機能や、パソコンの盗難・紛失があった際にデータを消去するリモートワイプ、リモートロックなどの機能を持つツールもあります。これらを活用することで、パソコンが社外に持ち出される場合でも安全性を確保できるでしょう。

ログ管理

PC管理ツールには、各端末の操作履歴を自動的に収集・保存し、一元的に管理できるログ管理機能があるのが一般的です。これにより、機密情報の持ち出しや不審なアクセスが発生した場合でも、どの端末で誰が操作したのかをすぐに特定できます。

また、社内ルールに反する操作を自動検知して管理者に通知する機能を備えたツールもあり、内部不正の防止に役立ちます。操作ログを分析することで、業務効率の改善や従業員の働き方の実態把握に活用することも可能です。

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リモートコントロール

PC管理ツールには、管理者が従業員のパソコンを遠隔で操作できるリモートコントロール機能が備わっている場合があります。これにより、ITサポートやトラブル対応を迅速に実施でき、現場に出向くことなく問題の解決が可能です。

例えば、ソフトウェアの設定変更やトラブルシューティングを、従業員がパソコンを使用していない夜間や出張中に一括で行うこともできます。

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PC管理ツールの導入手順

PC管理ツールを効果的に活用するためには、適切な導入プロセスを踏むことが重要です。下記で、PC管理ツールを導入する際の基本的な手順をまとめました。

PC管理ツールを導入する際の基本的な手順
手順 概要
1.ツール選定 管理の対象となるパソコンの数や必要な機能、予算を整理し、製品を比較して最適なツールを選ぶ
2.導入スケジュールの検討 導入手順や担当者を明確にし、想定される課題への対応計画を立てる
3.運用開始 実際に運用を開始し、従業員からのフィードバックを収集して改善を図る

1.ツール選定

PC管理ツールを導入する際は、まず自社の要件を明確にしてツールを選定することが重要です。管理対象となるパソコンの台数や、必要とする機能、予算を整理した上で候補を絞り込みます。

複数の候補を出したら、各ツールの強みや弱点を比較検討して、採用するツールを決定しましょう。

2.導入スケジュールの検討

ツールを選定したら、次に導入のスケジュールを検討します。どのような手順で導入を進めるか、各作業の担当者を誰にするかを明確にすることが重要です。

また、導入の過程では想定外の課題が発生する可能性もあります。そこで、導入前にリスクを洗い出し、問題発生時の対応計画を立てておくことで、スムーズな運用開始につなげられます。

3.運用開始

導入作業が完了したら、いよいよ実際の運用を開始します。運用を始めた後は、定期的に従業員からのフィードバックを収集し、使い勝手や不具合を確認しながら改善していきましょう。

また、ツールの活用状況を定期的に点検し、管理ルールや設定を必要に応じて調整することで、より効果的なPC管理が実現できます。

PC管理ツールの選び方

PC管理ツールには様々な種類があります。下記の2点を意識しながら、自社の規模や、PC管理をどのように活用していきたいかに応じて選ぶのがお勧めです。

目的を明確化する

PC管理ツールを選ぶ際に重要なのは、導入の目的を明確にすることです。「セキュリティ対策も強化したい」「テレワークの従業員のパソコンを適切に管理したい」など、課題に応じて必要になる機能は大きく異なります。

最初に目的を具体化しておけば、機能の過不足や不要なコストを避けられ、自社にとって最適なツールを選定できます。

必要な機能で選ぶ

PC管理ツールの機能は、ツールごとに異なります。基本的な管理項目だけでなく、それ以外に何ができるのかも把握しておくことが重要です。
例えば、同じ管理台帳を作成する機能でも、全社一括の情報を管理するだけのツールと、部署ごとなど対象範囲を絞り込んだ情報も参照できるツールでは、使いやすさが異なります。また、企業保有のパソコンだけでなく、従業員が業務で使うプライベートのパソコンについてもライセンス管理を行えるツールもあります。自社の状況に合わせて、必要な機能が揃っているツールを選びましょう。

なお、ツールの中には、管理できるパソコンの台数や期間があらかじめ決められているものもあります。事業規模に合ったツールを選ぶという視点も忘れてはなりません。

自社で用いているOSやデバイスに対応したツールを選ぶ

PC管理ツールごとに、対応OSや端末の種類は異なります。Macを利用している企業や、スマートフォンやタブレットの管理も行いたい企業の場合は、それぞれに対応したツールを選択しなければなりません。

また、同じく「対応可」としているツール同士でも、使い勝手や管理のしやすさを比較すると差がある場合があります。例えば、Macを主に使っている企業であれば「WindowsがメインでMacにも対応できる」というツールよりも、「Mac向けに適切に設計されていて、Macの管理に適している」というツールのほうが使いやすいでしょう。自社の使用しているパソコンなどに適したツールを選ぶことが大切です。

UIが使いやすいツールを選ぶ

PC管理ツールは日常的に管理担当者が利用するため、UIの使いやすさは重要です。操作が複雑だと、作業効率が落ちるだけでなく、設定ミスによるセキュリティリスクも高まります。

導入を検討する際には、試用期間を活用し、実際に操作する担当者に確認してもらうのが効果的です。画面のカスタマイズ性などもチェックしておくと、導入後の運用がスムーズに進みます。

サポート体制の充実度を確認する

PC管理ツールの運用を続ける中で不明点やトラブルが発生することがあるため、ベンダーから迅速で的確なサポートを受けられるかどうかも重要なポイントです。

例えば、マニュアルやFAQの提供状況、ユーザーコミュニティの有無、問い合わせへの対応スピードなどを確認しておくと安心です。サポート体制が整っていないベンダーのツールを選んでしまうと、運用開始後に効率が下がる可能性があります。

利用可能期間と契約の更新方法も把握しておく

PC管理ツールを選ぶ際には、契約期間や更新方法についても事前に確認しておくことが大切です。

契約期間が終了した場合、基本的にそのツールは利用できなくなります。利用を継続したい場合には契約の更新が必要になるため、あらかじめ契約の更新方法を確認しておきましょう。

また、利用を継続しない場合も想定して終了時のデータ引き継ぎの可否などを把握しておくと、将来的な運用計画を立てやすくなり、安心してツールを導入できます。

セキュリティ体制も確認しておく

PC管理ツール自体のセキュリティ体制も、選定時に必ず確認しておくべきポイントです。もしツールに脆弱性があり、更新や修正が十分に行われていなければ、ツールを導入したことで情報漏洩などのリスクを招く可能性があります。

定期的なアップデートが提供されているか、セキュリティレベルを維持する体制が整っているかを事前に確認しておきましょう。

PC管理はツールを使って効率的に行おう

PC管理は、すべての企業が必ず行わなければならないといっても過言ではありません。実際に、どのような企業でも、少なくともPC管理の中の資産管理は行っていることと思われます。
しかし、より適切にIT資産を活用するためには、インベントリ管理やライセンス管理が重要です。管理ツールを活用し、手間を省いて適切な管理を行うことをお勧めします。

インターコムの「MaLion」シリーズは、「ハードウェア台帳」「導入ソフトウェア履歴台帳」「導入ソフトウェア台帳」「保有ライセンス台帳」「ライセンス関連部材台帳」「ライセンス管理台帳(ライセンスの突き合わせ)」といった台帳を作成でき、PC管理に便利な機能を備えたIT資産管理ツールです。導入のしやすさや管理のしやすさ、サポート品質、総合的な価格面のほか、Mac端末の管理にも幅広い機能が対応している点で評価されています。ライセンス管理をお考えなら、「MaLion」シリーズの導入をご検討ください。

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