コラム

【2027年1月】源泉徴収票の電子化が義務に? 法令改正のポイントと準備の進め方

2027年(令和9年)1月、源泉徴収票をはじめとする「法定調書」の電子提出義務に関する基準が改正されます。対象企業の範囲が大きく拡大するため、これまで書面で運用してきた企業もいよいよデジタル化への対応を迫られることになります。

本記事では、2027年1月の法令改正における重要ポイントと実務対応、あわせて検討したい業務効率化の手法についてご紹介します。

2027年1月から電子提出義務の基準が「30枚」へ引き下げ

義務化の対象は「行政へ提出する法定調書」

法定調書とは、所得税法などの規定により税務署への提出が義務づけられている資料です。原則として、翌年1月31日までに所轄税務署に提出しなければなりません。現在は、前々年の提出枚数が100枚以上の場合に電子提出を義務づけられています。今回の改正では、2027年1月以降の提出分について、この基準が「30枚以上」に引き下げられることとなります。

代表的な法定調書

  • 給与所得の源泉徴収票
  • 退職所得の源泉徴収票
  • 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
  • 不動産の使用料等の支払調書
  • 不動産等の譲受けの対価の支払調書
  • 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書

なお、今回の改正で対象となるのは、あくまで税務署や自治体など行政への提出分です。年末調整時に従業員から回収する各種申告書の電子化まで義務づけられるわけではありません。

参考:国税庁「e-Tax等による法定調書の提出が義務化されています!

電子提出義務を判定する3つのポイント

自社が、法定調書の電子提出義務の対象かどうかを確認する際には、以下3点に注意しましょう。

法定調書の種類ごとに確認する

法定調書の合計枚数ではなく、法定調書の種類ごとに提出枚数を確認し、30枚以上になるかを確認します。一部の法定調書で電子提出が必須となった場合でも、基準枚数に満たない種類の法定調書は書面提出できます。

<例>A社の「種類ごと」の提出状況
  • 【給与所得の源泉徴収票】35枚:電子提出が必要
  • 【報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書】15枚:書面提出でも可

法定調書を提出する拠点ごとに確認する

源泉徴収票をはじめとする主な法定調書は、原則として支払事務を行う拠点ごとに所轄税務署へ提出します。支店や工場が複数あり、拠点ごとに法定調書を提出している場合、その拠点ごとの枚数で判定します。

<例>A社の「拠点ごと」の提出状況
  • 【A支店の給与所得の源泉徴収票】10枚:書面提出でも可
  • 【B支店の給与所得の源泉徴収票】50枚:電子提出が必要

前々年の提出実績を確認する

義務化を決めるのは、「前々年の提出枚数」です。2027年提出分が30枚未満であっても、2025年に提出した実績が30枚以上であれば電子提出しなければなりません。2027年の提出時に慌てないよう、直近の提出枚数を確認しておく必要があります。

<例>給与所得の源泉徴収票の場合

参考:国税庁「e-Tax等による法定調書の提出が義務化されています!
参考:国税庁「No.7452 法定調書を本店等で一括して提出する場合の手続

スムーズな電子化に向けた「2つの事前準備」

自社に合った電子提出方法を選び、早めの体制整備を

電子提出には3つの方法があるため、自社に最適な運用を選びましょう。事前の手続きが必要なケースもあるため、あらかじめ具体的な手順まで確認しておくのがお勧めです。

方法 特長・注意点
e-Tax 国税庁が運営する国税の電子申告システムで、無料で利用できます。ダウンロード型とWEB版がありますが、WEB版は対応書類の種類が限られるため、自社に合ったものを選びましょう。いずれも、事前に電子証明書の取得や「電子申告・納税等開始届出書」の提出が必要となる場合があるため、早めの準備がお勧めです。
eLTAX 地方税共同機構が提供している無料の地方税ポータルシステムです。源泉徴収票を事業者の所轄税務署へ一括送信することができます。電子証明書の取得や利用届出の提出が必要となる場合があるため、早めの準備がお勧めです。
光ディスクなど CDやDVDなどにデータを保存して提出する方法で、大量のデータを一括提出する場合に適しています。記録様式に様々な決まりがあるので、注意が必要です。
クラウドサービス 2022年(令和4年)1月から、国税庁の認定を受けたクラウドサービスを利用して電子提出できるようになりました。2026年4月現在、2つのクラウドサービスが認定を受けています。クラウドサービスを利用する場合には、事前に国税庁への届け出を出し、承認を受ける必要があります。

参考:国税庁「法定調書(源泉徴収票、支払調書)

スムーズな電子提出の鍵は、日常業務での電子データの蓄積

法定調書の電子提出を円滑に進めるには、日常業務の段階からデータを電子化しておくことが欠かせません。紙ベースでの管理では、法定調書の作成時にデータを再入力することになり、手間やミスが増える原因となります。日常的に蓄積したデータを、そのまま法定調書作成に活用できる体制を整えることがポイントです。

専用ソフトを導入する

法定調書の作成に限ったソフトのほか、給与計算・請求書作成などの業務にも対応するもの、e-Taxと連携して電子申告まで対応できるものもあります。目的や予算に合わせて、自社にとって最適なソフトを選びましょう。

Excelなどの表計算ソフトを使用する

コストをかけずに電子化を進めたい場合や、すでに導入しているシステムの変更が難しい場合には、表計算ソフトの使用がおすすめです。「給与明細 テンプレート エクセル」などと検索すると、様々なテンプレートを取得することができます。法定調書の作成時には、国税庁が用意する「法定調書CSVファイル作成用 標準フォーム」に必要なデータを転記し、「CSVファイル等作成・分割ツール 」でCSV形式で変換すれば、そのままe-Taxにアップロードできます。

参考:e-tax「法定調書CSVファイル作成用 標準フォーム

源泉徴収票の「従業員への電子配付」でさらなる効率化を

2007年1月以降、源泉徴収票は従業員に電子配付できる

法定調書のうち、源泉徴収票については従業員本人への配付義務があります。従来は書面で配付する必要がありましたが、2007年1月以後、電子配付が認められました。せっかく源泉徴収票を電子化するのであれば、行政への提出だけでなく、従業員本人への配付も電子化を検討しましょう。印刷や封入、郵送といった作業を削減でき、業務効率の向上につながります。

電子配付の要件

従業員の承諾を得る

源泉徴収票などの明細を電子配付するためには、従業員に対して、あらかじめ配付方法を通知し、同意を得る必要があります。なお、退職に関する明細(退職所得の源泉徴収票、退職手当等の支払明細書)を除き、2023年4月からは、期限までに従業員からの回答がない場合には同意とみなす「オプトアウト方式」も認められており、導入しやすくなっています。

従業員の閲覧環境を確保する

従業員がきちんと画面で明細を閲覧できるほか、必要に応じて紙に印刷できる環境を整える必要があります。また、電子配付に了承を得た場合でも、従業員からの希望があれば書面で配付しなければなりません。

参考:国税庁「給与所得の源泉徴収票等の交付義務
参考:国税庁「基本的な事項

電子配付にあたって気を付けたいポイント

電子配付を行う際は、情報漏洩や運用トラブルへの対策が不可欠です。源泉徴収票の配付方法に応じて、次のような点に注意しましょう。

配付方法 注意点
メールに添付して送信する 宛先設定や添付する源泉徴収票の誤りなど、ヒューマンエラーによる情報漏洩に注意しましょう。また、メールアドレスの収集・管理方法や、送信エラー時の代替手段についてもあらかじめ検討する必要があります。
社内ネットワーク(イントラなど)に掲載する 社内のポータルサイトやファイルサーバーに源泉徴収票を保管する際には、アクセス権限の設定ミスによる情報漏洩に注意しましょう。また、社外からネットワークにアクセスできない場合、長期休暇中や出向中の従業員への配付方法も事前に定めておく必要があります。
社内の共有端末に保存する 一人1台パソコンがないなど、共通の端末を複数人が共有して閲覧する場合には、従業員間で他人の源泉徴収票が閲覧できないような工夫が必要です。それぞれの源泉徴収票に個別のパスワードを設定したり、従業員ごとにログイン情報を付与したりすることが有効です。
Webサービスで配付する Webサービスによって機能や利用料が異なるため、自社に合ったものを選択しましょう。業務フローの変更や従業員への周知にあたり、余裕を持って準備を進めることが重要です。導入後の現場の混乱を防ぐため、パソコンなどの操作が苦手な層へのフォローを事前に検討しておきましょう。

まとめ

2027年に向けた「早めの電子化」を

電子提出義務の基準引き下げにより、多くの企業が新たに対応を迫られることになります。制度改正直前はシステム導入や行政手続きが混雑する可能性もあるため、余裕を持った準備が重要です。「まだ先のこと」と考えず、スムーズなデジタル移行に向けた準備をスタートさせましょう。

源泉徴収票の電子化は「Web給金帳Cloud」

Web給金帳Cloud」は、給与明細書をはじめ、賞与明細書や源泉徴収票、オフィス文書などを電子化し、パソコン、スマートフォン、タブレットから自由に閲覧できるクラウドサービスです。わかりやすい配信ステップと操作画面で、パソコン操作が苦手な担当者でも簡単に導入・運用ができます。源泉徴収票の電子化を効率的に行いたい方は、ぜひご検討ください。

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